マーケティングのジレンマ・・・・No.34 生産性を高めて価格競争から脱却し、高収益企業になる視点
製造業に代表される日本企業は「良い製品を、どこよりも安く提供する」というこれまでの価値観から、「良い製品、魅力的な製品を、その価値に見合った価格で提供する」という価値観に転換することで、自社の未来が広がってきます。
「良い製品、魅力的な製品を、その価値に見合った価格で提供する」という価値観への転換
業界の待遇(給与)は、その業界の「生産性」に左右されます。社員一人あたりでどれだけの利益を生み出せるかという指標が「生産性」です。単価が安く、しかも価格競争が激しい業界では、大量販売を行わないと収益を増やせません。その一方単価が高く、価格競争をしなくても済んでいる業界(インポートブランドの時計やドイツ車など)では、大量販売でなくても高収益化が可能です。
製造業に代表される日本企業はこれまで「良い製品を、どこよりも安く提供する」という価値観でビジネスを展開してきました。しかしこの視点ではアジアを中心とした新興国が製造する安価な製品には勝てず、苦戦を強いられてしまいます。「良い製品、魅力的な製品を、その価値に見合った価格で提供する」という価値観に転換しないと、先行きに明るさが見えてきません。
どの企業もそれなりの価格で販売したいのに、なぜ安売りされてしまうのか。それは大量生産による大量販売が必要なため、限りなく販路の数を増やしてきたことに起因します。どのチャネルでも販売されているモノだと、小売業は他社より少しでも安く販売し、自社の売上を増やそうとします。これが価格競争になる原因です。
もうひとつ、企業が販売価格を高くできない理由。それはブランド力が不足しているからです。
機能や性能だけで勝負をしても、競合企業が同じ機能と性能の製品を安く販売すれば、顧客は安価なモノを選んでしまいます。価格競争がし烈になると、メーカーも小売業も共に利益は増えていかず、消耗戦に陥ります。さらにデフレが続くと、生活者の収入も増えていきませんから、負のスパイラルに陥ってしまいます。
20世紀型のビジネス構造から日本の製造業が脱却するには、ECも含めて販路は自社で開拓し、さらに販売価格を維持できる販路で販売することです。そして価格の安さでなく、『価値』で選ばれる独自のブランド力を高めていくことです。