マーケティングのジレンマ・・・・No.41 携帯電話料金問題について、マスメディアが報道しないひとつの背景
菅新政権が携帯電話料金を「4割程度値下げできる余地がある」と指摘しましたが、もし4割の値下げが実現すると、家計にはおよそ2.4兆円のゆとりが生まれることになります。消費税は1%幅の引き下げで2兆5000億円の税負担減になるとされますが、携帯電話料金を4割引き下げれば、消費税1%の引き下げに匹敵する規模になります。
携帯電話料金について、マスメディアが報道しないワケ
総務省の家計調査から消費支出を見ると、2007年にスマートフォン(スマホ)が登場して以来、パソコンやカメラ、テレビなど家庭用電子機器の購入が減り、最も大きく減少したのが被服履物です。スマートフォンの機能向上と通信費の増加が、家電など広範囲に需要減少と価格下落を招いていると、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは指摘しています。
総務省の家計調査を見ると、2019年の1世帯当たりの年間平均通信料金は約12万7000円(この数字は2人以上の世帯の数字)で、仮に1世帯が年間に10万円の通信料金を支払っているとすれば、全体でおよそ6兆円の規模になります。菅新政権が携帯電話料金を「4割程度値下げできる余地がある」と指摘しましたが、もし4割の値下げが実現すると、家計にはおよそ2.4兆円のゆとりが生まれることになります。消費税は1%幅の引き下げで2兆5000億円の税負担減になるとされますが、携帯電話料金を4割引き下げれば、消費税1%の引き下げに匹敵する規模になります。
これまでテレビを中心にしたマスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は、政府がこの件を指摘するまでに、携帯電話料金の課題や問題を指摘することはありませんでした。マスメディアから広告主が減少していく中で、携帯電話大手3社は日本で最大の広告費をマスメディアに拠出する業界です。マスメディアが携帯電話料金についてニュースに取り上げないことと、相手が大広告主であることが、無関係ではないように見えます。
マスメディアしか存在しなかった時代と違い、ネット環境下にある現在は、事実認定をネットがする時代です。マスメディアはその立ち位置と報道姿勢を見直さないと、ますますその信頼性と存在意義が希薄化していく可能性が高くなります。
皆さんはどうお考えになるでしょうか?
図表は、電通 2019年 日本の広告費 2009年~2019年 業種別広告費推移(マスコミ4媒体広告費・衛星メディア関連は除く)より転載