マーケティングのジレンマ・・・・No.44 男性より長寿な女性は、生存リスクに備える(前編)
2019年時点で日本人の平均寿命は女性では87.45歳、男性は81.41歳となり、平均寿命では女性は男性より6歳以上長生きします。また90歳まで生存する人は女性では51.1%、男性は27.2%という推計が出ています。夫より妻が年下の場合、ひとりで暮らす期間がさらに長くなり、配偶者に先立たれた場合の生活資金について、前もってを念頭に入れておくことが欠かせません。
女性ほど生存リスクに備える必要がある!?
総務省の推計によると2020年9月15日現在で、65歳以上の高齢者の人口は前年より30万人増えて3617万人と過去最多になり、総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は28.7%と、過去最高を更新しました。70歳以上の全体の割合は22.2%ですが、女性では25.1%と「4人に1人」が70歳以上です。性別に見ると高齢者の男性は1573万人(男性人口の25.7%)、女性は2044万人(女性人口の31.6%)で、1947年から1949年生まれの「団塊の世代」を含む70歳以上の人口は2791万人と、前年より78万人増えています。
厚生労働省によると、2019年に日本人の平均寿命は女性では87.45歳、男性は81.41歳で、平均寿命で見ると女性は男性より6歳以上長生きします。また90歳まで生存する人は女性で51.1%、男性は27.2%という推計も出ています。夫より妻が年下の場合は、ひとりの期間がさらに長くなり、配偶者に先立たれた場合の収支を念頭に入れておくことが欠かせません。
一方、女性の就業率は7割を超え、共働き世帯は1,000万世帯となって、厚生年金の加入者数も増加しています。夫婦ともに厚生年金に加入して働くと、将来その世帯が受け取る年金が多くなるというメリットがありますが、遺族年金についてはひとつ大きな盲点が存在しています。
夫婦2人で暮らしている間は2人分の年金が受け取れますが、どちらかが亡くなると原則として「ひとり分の年金」になる点です。夫婦共働きだった世帯で夫が先立った場合、夫の遺族厚生年金額と妻の老齢厚生年金額との差額だけが遺族厚生年金として妻に支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止になります。ちなみに妻が専業主婦で厚生年金の加入経験がなければ、遺族厚生年金は全額支給されます。
遺族年金は非課税ですが、老齢年金はやっかいなことに課税所得になるので、年金額によっては、所得税・住民税といった税金が課され、健康保険や介護保険の保険料を専業主婦世帯よりも多く負担することになります。細かな計算式を知るよりも手にする年金額は「共働き夫婦がひとりなった時は、残された人自身の老齢年金+α」と覚えておけば良さそうです。
私たちはいずれ「ひとり」になることを考えると、将来のライフプランを講じておく必要があります。平均寿命が短い時代は、死亡リスクに重きが置かれていましたが、長寿化した現在は生存リスクを踏まえたライフマネージメントの実践が不可欠です。
ではこの課題にどう取組めば良いのか。その具体策は後編でご紹介します。