マーケティングのジレンマ・・・・No.44 男性より長寿な女性ほど、生存リスクに備える(後編)
平均寿命が短い時代は、死亡リスクに重きが置かれていましたが、長寿化した現在は生存リスクを踏まえたライフマネージメントの実践が不可欠です。この課題への対策として、2つの考え方が存在します。
長寿化した生存リスクに備える2つの考え方
日本の高齢化率は上昇を続け、71~74年生まれの第2次ベビーブーム世代が高齢者となる2040年には、35%を超える見込みです。前編で触れたように、平均寿命が短い時代は、死亡リスクに重きが置かれていましたが、長寿化した現在は生存リスクを踏まえたライフマネージメントの実践が不可欠です。ではこの課題にどう取組めば良いのかを考えると、その対策としては誰にも共通する2つの考え方が存在します。
(1)ひとつ目は可能な限り年金の受給を遅らせて、手にする年金額を増やすことです
年金の受給開始を65歳から1ヵ月毎に遅らせると、支給される年金の月額は0.7%増加し、増加した金額は一生涯続きます。仮に年金の受給を1年遅らせると受けとる金額は8.4%増え、年利8%の金融商品と同じになります。仮に受給開始を75歳まで延長すると、手にする年金額は84%も増えることになります。試算すると、厚生年金の平均的な受給額約14万6000円の場合なら、26万9000円に増加します。
(2)ふたつ目は定年後も可能な限り仕事を続けることです
前編で日本人の平均寿命は2019年に女性87.45歳、男性81.41歳になったことに触れましたが、年金の受給を遅らせて受給金額を増やすには、60歳以降も可能な限り仕事を続けることが欠かせません。
民間企業で働く人の厚生年金の受給開始年齢は、2013年4月から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、男性は2025 年4月以降から65歳になります。継続雇用が義務付けられる年齢は、この受給開始年齢の変化に対応するように定められているので、2025年には65歳に引き上げられます。とはいえ、65歳で仕事を終えてしまっては受給金額を増やすことはできませんから、65歳以降も仕事を続けることが必要です。仮に現在勤務している企業で定年延長して65歳まで働くとしても、その後仕事をどう継続するのか。それを今から想定し、準備しておくことです。
その際に考えられる選択肢としては、
①企業に雇用してもらう
②専門性を生かして個人事業主になる
③起業し、法人を設立して経営者として事業を行う
④パートやアルバイト的な業務に従事する
これ以外にも、手持ちの資金を運用して運用益を出すといった道を選ぶ人もいるかもしれません。
90分で行われるサッカーの試合に例えると、45歳から後半戦が始まります。人生をどう豊かに、そして愉しく過ごすかは、後半戦の準備をいち早く始めることです。