マーケティングのジレンマ・・・・No.56 アマゾンがレジなし店舗をスターバックスと共同運用を始めた理由
アマゾンは「アマゾンゴー」の技術を使った店舗を展開していますが、他社への「アマゾンゴー」の技術販売は思うように進んでいません。その最大の理由は、世界最大の競争相手であるアマゾンとの提携に、多くの小売業企業が二の足を踏んでいるからです。そこでアマゾンが取組んだのが、スターバックスとの共同運用です。
なぜアマゾンはスターバックスとレジのない店舗の共同運用を始めたのか?
スターバックスはアマゾンの技術を試験導入したレジのない新店舗を、2021年11月18日にニューヨーク市内に出店しました。この店舗は、アマゾンが2018年に1号店を開業したレジなしコンビニエンスストア「アマゾンゴー」との共同運営です。
店内には、個別利用できるワークスペースと、電源コンセントとUSBポートを備えた大型テーブルのスペースが用意され、利用者が選べるようになっています。利用する顧客は、スターバックスのアプリで欲しい商品を事前に注文しておけば、入店して商品を受け取れます。決済方法は、携帯電話に入れたアマゾンゴーのアプリをスキャンするか、手のひらで個人を識別する生体認証システムの「アマゾン・ワン」、もしくはクレジットカード利用です。
これまでアマゾンは、「アマゾン・ゴー」や大型食品店「アマゾン・フレッシュ」で無人決済技術を展開してきました。2021年6月には空港や駅構内でコンビニエンスストアを展開するハドソンが、ジャスト・ウォークアウト技術を使った「ハドソン・ノンストップ」をイリノイ州シカゴのシカゴ・ミッドウェー国際空港で開店しています。
アマゾンは「アマゾンゴー」の技術を使った店舗展開を拡大させようとしていますが、他社への「アマゾンゴー」の技術販売は思うように進んでいません。その最大の理由は、世界最大の競合相手であるアマゾンとの提携に、多くの小売業企業が二の足を踏んでいるからです。そのためアマゾンは「アマゾンゴー」の運用コストを2020年から2023年の間に約75%引き下げる計画があるようです。
今回のスターバックスとの共同運用は、集客力のあるスターバックスと組んで飲食店や小売店向けの技術販売に弾みをつけ、新たな収益源に育てることをアマゾンは狙っているようです。
画像は(c) Starbucks