マーケティングのジレンマ・・・・No.59 顧客は正しくない!?
コラム
リンクトイン
あるビジネスパーソンが勤務していた企業では、顧客満足度のスコアは98%でした。100%にできない理由を管理職に尋ねたところ、「いくら与えても、世の中には決して満足しない人がいるんだよ」と教えてくれたそうです。
万人を相手に薄利多売のビジネスを行ってしまう功罪
日本の交通インフラやサービス産業は海外と比較して非常に品質が高く、特にサービス産業の接客は世界に誇れるレベルです。その一方で、日本の顧客の質とそのレベルは、世界に誇れるかといえば疑問が残ります。
日本は、万人を対象に安価で良質な事業・商品・サービスが溢れているので、対価に相応しい対応が必要なことを、知らずにいる人が大勢います。高度な要求を強いるなら、要求レベルにふさわしい対価を支払うか、それなりの金額が必要な店舗を利用すれば期待は満たされるはずです。支払った金額の対価として、受けとるのが本来のサービスです。
こうした事態を招く原因は、万人を相手に薄利多売のビジネスを行ってしまう、企業側のミスマーケティングです。
顧客の設定が正しければ、企業と顧客は共に良好な関係を築ける可能性は高まります。しかし顧客満足が100%に達することは、残念ながらありません。市場と顧客をいくらセグメントしても、そこで不満を持つ人は必ず出現します。
顧客に100%満足してもらおうと努力するのは、限界があるように感じます。想定した顧客の全てが、自社にとって最良の顧客ではない。この割り切りがある面で必要ではないでしょうか。