マーケティングのジレンマ・・・・No.30 専門スキルを掛け合わせると、社会が求めるスキルに昇華する
世の中には英語に強い人や財務に詳しい人は無数に存在します。残念ながらそれだけで独自性は発揮できません。独自性のある専門スキルを身に着けるには、ふたつ、あるいはそれ以上の専門スキルを掛け合わせるという方法があります。
現在の仕事で専門スキルを磨きながら、もうひとつ別の専門スキルを掛け合わせると無敵になる
現在の企業で厚遇を受けるか、より良い条件を求めて転職するか。あるいは起業するとしても、専門的なスキルは欠かせません。自身の価値を向上するには、まず現在の仕事を通じて、専門スキルを磨くことが得策です。
いくつかの部署をローテーションするだけで、専門スキルを持っていない(仕事を通じて専門スキルを磨いていない)「ノンスキル」の人材では、転職や起業以前に、ミドルエイジになって早期退職奨励対象者になってしまう可能性が出てきます。
専門スキルといえども、今後AIやロボットといったITテクノロジーに代替されてしまう分野では、仕事そのものが消滅する可能性があります。こうした分野ではいくら経験を積んでベテランになっても、専門スキルの価値はなくなります。資格取得によってこれまで仕事ができていた業界などは、この流れを受けて大きな影響を受けることになります。
現在従事している仕事を通じて専門スキルを磨く際に、ひとつ踏まえておきたい視点があります。それは専門スキルの掛け合わせです。
マーケティング部門にいてマーケティングスキルを磨いているなら、そこでもうひとつのスキルを加えて、独自性を発揮できるように取組みます。
例えば
●マーケティングスキルを磨きつつ、広報スキル(マスメディアかネットか、あるいは両方か)も併せて磨く
●マーケティングスキルを蓄えながら、Webスキルの向上にも努める
といった掛け合わせです。
実例として、こんな人たちが存在しています。
●銀行と監査法人で金融と税務のノウハウを磨いてきたOさんは、その後、新たな企業から女性向け消費財事業のマーケティング担当役員に請われ、財務がわかるマーケターとしての評価を確立。現在は新規事業と新規事業ブランド開発担当役員として活躍しています。
●Kさんは経済誌の編集者として経済ジャーナリストとしてのスキルを磨いて編集長まで務め、さらに編集担当役員にまで昇格しました。さらにKさんは定年後、得意な語学力(英語力)を生かし、現在は経済書の翻訳家として活躍しています。
この人たちのように専門スキルを掛け合わせ、その人にしかない専門スキルを備えれば、圧倒的な優位性を発揮できます。
世の中には英語に強い人や財務に詳しい人は無数に存在します。残念ながらそれだけで独自性は発揮できません。語学力に加えて経済や経営に知見を持っていたから、経済書の翻訳が可能なわけですし、財務に強いマーケターも世の中には希少な存在だから、その力を必要とする企業からオファーが来たわけです。
独自性のある専門スキルを身に着けるには、ふたつ、あるいはそれ以上の専門スキルを掛け合わせるという方法があることを念頭に置いて、実践してみてください。あなたにしか発揮できない専門的スキルに、きっと昇華することでしょう。