コラム

マーケティングのジレンマ・・・No.66 万人向けという市場からの決別

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コラム リンクトイン

価格競争に苦しむ日本とは異なり、既存事業や既存商品の改良改善ではなく、強みを生かした事業を展開し、付加価値が認められる市場でイノベーションに取組んでいる国と企業があります。

付加価値が認められる市場で、イノベーションに取組む国がある!

日本を30年以上も苦しめている原因のひとつが、価格競争です。

ユニクロやダイソーに代表されるように、海外で安く大量に商品をつくり、安価に大量の商品を販売するビジネスモデルが幅を利かせたことで、日本企業の多くは価格競争を余儀なくされました。価格競争は、日本をデフレにした要因のひとつです。企業が価格競争に参入してしまうのは、大衆・万人向けのマスマーケットという巨大市場の存在があるからです。この市場は国内企業はもとより、韓国や中国に代表される国々とのし烈な争いが避けられず、強い者だけが生き残る典型的なレッドオーシャンです。

価格競争に巻き込まれず、強みを生かした事業を展開するには、既存事業や既存商品の改良改善ではなく、付加価値が認められる市場でイノベーションに取組むことです。この取組みを実現している国や企業はあるのか調べてみると、ドイツがありました。

現在のドイツは、年間労働時間は日本の3分の2ですが、賃金は日本の1.5倍あります。平日の労働時間は最長でも10時間までに制限されており、OECDの中で最も少ない労働時間です。少ない労働時間で高い生産性を生み出すには、それを可能にするシステム作りが欠かせません。

ドイツでは従業員が500人以下の中小企業が国際競争力を身に着けつけ、世界で活躍しています。彼らはかつては手掛けていた家電やカメラ、時計、スマートフォンなど既存製品の生産に固執せずに撤退し、IT化を進めながら医療機器やバイオテクノロジーなどの市場で付加価値の高い製品開発に集中的に取組んでいます。

一方の日本は中小企業の生産性が低く、日本経済全体の足かせになっています。現在日本はGDP世界3位ですが、4位のドイツとの距離は縮まっており、このままでは日本はドイツに抜かれてしまいます。

日本企業が取組む視点として、ドイツの取った施策がひとつの参考になります。

●大衆・万人向けのマスマーケットでなく、顧客を特定したセグメントマーケットを対象にする

●海外企業も含めて価格競争をしなくて済む医療やバイオテクノロジーといった市場で、付加価値を重視した事業を推進する

ということではないでしょうか。