コラム

マーケティングのジレンマ・・・No.67 ネットフリックスが成功した「入口を押さえる」戦略

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コラム リンクトイン

新たな市場に参入する際、企業には新規顧客の開拓が必須条件になります。既存顧客を持たない企業にとって、新規顧客の開拓は多額の費用が必要になり、その経費をどれだけ負担できるかが問われます。過去の方法論に固執せず、経費を掛けずいかに斬新な突破口を見つけることができるのか。ここでマーケターの力量が試されます。

多くのテレビにネットフリックスのアプリが組み込まれた理由

ネットフリックスは2015年にアジアに進出するに際して、まず日本市場から参入しました。同社はすでにアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、南米で展開していましたが、文化や習慣が異なるアジア市場への進出はリスクが高いと予想されていました。そこでネットフリックスが日本市場で成功するために考えたのが、「入口を押さえる」戦略です。

「入り口」とは、テレビのリモコンボタンとテレビ内アプリの活用です。

ネットフリックスは日本の家電メーカーに、ネットフリックス専用のボタンをテレビのリモコンに付けてもらう代わりに、リモコン製造コストの10%を負担するというオファーを出しました。

家電メーカーはリモコンの製造コストが削減ができるためこの提案に乗り、多くのテレビにネットフリックスのアプリが組み込まれ、専用ボタンを押すだけでネットフリックスを利用できるようになりました。

2015年当時、日本のネット対応テレビの出荷台数は約250万台で、リモコンの製造コストはおよそ100円でした。製造コストの約100円の10%は、10円に過ぎません。ネットフリックスは、約2,500万円というわずかな投資コストで、日本市場の「入口」を押さえることに成功しました。

新しいテレビを購入すれば簡単にネットフリックスを利用できるため、日本市場でユーザー数を増やすことになり、同社は日本市場への参入を成功させたのでした。