「エイジテック」とは「Age(年齢、特に高年齢)」と「Technology」を組み合わせた言葉で、高齢者や高齢化社会が直面する問題に対し、テクノロジーを活用して、高齢者の生活の質を向上させる分野のことです。この分野では情報通信技術、人工知能、ロボット工学、バイオテクノロジーなど多岐にわたる技術が活用され始めました。
世界中で高齢化は進行しており、新しいビジネス領域として「エイジテック」分野が脚光を浴びている
2022年9月15日現在の我が国の総人口推計によると、前年比で82万人の減少が見られますが、その一方で65歳以上の高齢者人口は前年から6万人増加して3,627万人に達し、過去最多となりました。その割合は前年から0.3ポイント増加して29.1%に達し、過去最高になっています。
2020年の国勢調査の「人口等基本集計結果」によると、65歳以上のひとり暮らしをしている人口は671万7,000人で、この年齢層の約5人に1人がひとり暮らしです。男性のひとり暮らしは230万8,000人ながら女性は440万9,000人と、女性のひとり暮らしは男性のほぼ2倍です。
厚生労働省の「令和4年(2022年)簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性が81.05年、女性が87.09年です。女性の寿命は男性よりも長いため、現在のひとり暮らしの人たちには生涯未婚の方だけでなく、配偶者が亡くなりひとり暮らしになった方々も含まれています。
日本を始め世界中で高齢化は進行しており、2020年時点で先進各国の高齢化率は、日本28.6%、スウェーデン20.3%、ドイツ21.7%、フランス20.8%、イギリス18.7%、アメリカ16.6%となっています。(内閣府令和4年版高齢社会白書全体版より)
このような背景から、この市場が新しいビジネス領域として注目され、中でも「エイジテック」分野が脚光を浴びています。
「エイジテック」とは「Age(年齢、特に高年齢)」と「Technology」を組み合わせた言葉で、高齢者や高齢化社会が直面する問題に対し、テクノロジーを活用して、高齢者の生活の質を向上させる分野を指します。この分野では情報通信技術、人工知能、ロボット工学、バイオテクノロジーなど多岐にわたる技術が活用されています。
エイジテックの応用範囲は以下の4つの領域に分かれます。
1.高齢者自身が利用するもの
高齢者が自立した生活を送るためのスマートウォッチ、アプリ、視覚・聴覚補助デバイス、オンラインコミュニケーションツール、認知機能トレーニングアプリなど。
2.企業や行政が高齢者に提供するもの
高齢者の生活を支援する介護ロボット、在宅医療サービス、AIアシスタントなど。
3.個人が高齢者をサポートするために利用するもの
見守りシステム、介護者向けアプリなど。
4.将来の高齢者(現在の中年世代)向け
健康寿命を延ばすための生活改善サービスや健康管理ツールなど。
日本を含む多くの国々で高齢化が進行しており、エイジテック市場では既に多くの新しい取り組みが始まっています。例えば、FitbitやApple Watchのようなウェアラブルデバイス、認知症のサポートロボット「PARO(パロ)」、脳トレーニングアプリ、スマートホームシステム、在宅医療サービス、介護業務効率化ソフトウェア、ホスピスケア向けテクノロジー、遺品整理サービスなどです。
また世界的なテクノロジー企業もエイジテック分野に積極的に取り組み、健康プログラムやヘルスケアスタートアップへの投資など、さまざまなアクションを展開しています。
例えば、
●Appleは、シンガポール政府と提携し、Apple Watchを活用した健康プログラムを提供
●Googleは、Google Health Studiesをリリースし、複数のヘルスケアスタートアップに投資
●Amazonは、音声アシスタントAlexaを用いた高齢者遠隔介護サポートサービスを開始
といった動きです。