マーケティングのジレンマ・・・No.69 中国のグルメサイト「美団(メイトゥアン)」は、顧客による店舗評価だけでなく、店舗も顧客を評価できる!
中国のグルメサイト「美団(メイトゥアン)」は、利用者が店舗を選ぶだけでなく、店舗も顧客を選ぶことができる公平なシステムが構築されています。
「美団(メイトゥアン)」のグルメサイトは、好ましくない顧客の利用を拒否できる
2021年6月末時点で中国国内の食品デリバリー利用者は約4億7,000万人と全人口の約3分の1にあたり、この巨大な市場をほぼ独占しているのが、「美団(メイトゥアン)」というプラットフォームです。「美団(メイトゥアン)」は、オンライン共同購入型クーポンを提供していた企業と、口コミ型グルメサイトを運営していた「大衆点評(ダーヂョンディェンピン)」が2015年に合併して生まれ、現在、「美団(メイトゥアン)」は市場の67.3%という圧倒的なシェアを誇っています。
このプラットフォームは、食品デリバリーだけでなく、ホテル検索・予約サイト、自転車シェア事業、タクシー配車事業、生鮮食品のEコマースなど、ライフスタイル全般にわたる事業領域に進出しています。
「美団(メイトゥアン)」に登録されている店舗は、大規模店舗から個人経営の店舗、宅配専門店まで多岐にわたり、会員向けに独自のサービスを提供し、タイムサービスなどで割引を提供。この多様性が選択肢を豊富にし、ユーザーには魅力的な存在になっています。「美団(メイトゥアン)」に登録された店舗は、深夜でもチャットでの問い合わせに10秒以内に応答するなど、顧客対応の迅速性も高く評価されています。
飲食店の評価は、味はもとより、店員のサービス、店舗の清潔さなども含めて、顧客は高評価の店舗を選ぶため、競争は激化しています。高品質な店舗とサービスが選ばれる一方、低評価の店舗は淘汰されます。
注目したいのは「美団(メイトゥアン)」のグルメサイトが、顧客による店舗評価に加えて、店舗も顧客を評価できるシステムを導入している点です。店舗は、「予約しても来店しない」「不正なキャンセルをする」「低評価を繰り返す」などといった顧客を拒否することが可能です。このシステムで低評価の顧客は店舗にアクセスできなくなり、店舗にとっては大きなメリットが生まれます。また顧客の評価は非公開になっています。
「美団(メイトゥアン)」のプラットフォームは、利用者が店舗を選ぶだけでなく、店舗も顧客を選ぶことができる公平なシステムになっています。この仕組みは日本にも必要な気がします。
参考資料:客が店を評価するだけでなく、店が客を評価できる 成嶋祐介氏 プレジデントオンライン