マーケティングのジレンマ・・・No.74 アップルがEV開発を中止した理由
EV市場に対するバラ色の予測が陰る中、アップルがEVから撤退した理由は思わぬところにありました。
アップルがEV開発を中止した3つの理由
アップルがEV開発を中止した理由は、次の3点だという指摘があります。
1. EVは利益率が低い
現在のアップルの利益率は2024年第1四半期(2023年10〜12月)で45.9%を記録し、昨年までの35〜38%と比較して大幅に上昇しています。その要因はiPhoneの中でも価格が高いProモデルが好調で、67%の利益率を誇るサービス部門の売上比率が上昇したことです。それに対てEVメーカーの利益率は振るわず、また利益を出しているのはテスラだけです。その利益率は18.2%。他社は利益が出ておらず赤字です。
2. アップルの優位性が発揮できない
現在のEVの中核を担っている価値は、バッテリーと充電ネットワーク、制御するソフトウェア、自動運転機能という3つです。そこにアップルの強みといえる情報通信やエンターテインメントの要素はなく、アップルが優位性を発揮できる領域はあまりありません。ちなみにテスラは既にiPhoneと連携が十分なされており、アップルカーを待つ必要性は低いわけです。
3. 次世代CarPlayで自動車メーカーとの連携を強化していく
アップルはEV計画から撤退しましたが、2024年からiPhoneと自動車との連携を強化していきます。今年発売されるポルシェ・マカンやアストンマーチンに実装される次世代CarPlayは、自動車メーカーのデザインや雰囲気を重視しながら、iPhoneとコラボレーションする仕組みになっています。
こうしてみると、アップルが自分たちでEVを作ろうとしたことは、自動車のことを理解するという点では生かされているようです。
参考資料:アップル「EV開発から撤退」の意味と、次なる探索 「iPhoneと車との連携強化」は新たな段階に入る 東洋経済オンライン