コラム

マーケティングのジレンマ・・・No.75 リテールメディアの位置づけと市場規模が大きく異なる日本とアメリカ

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日本とアメリカでは、リテールメディアの位置づけと市場規模には大きな違いがあります。アメリカは自社が運営するECサイトへの広告出稿が中心なのに対し、EC事業の規模が小さい日本では、アプリ広告や店内のサイネージなどを活用した広告を中核にしています。

ファミリーマートがFamilyMartVisionを設置した店舗で接触できる人数は、1週間で6,400万人にのぼる

アマゾンの広告サービスの売上高(2022年度)は377億ドルで、約5兆6,000億円(1ドル150円換算)に上ります。アメリカのリテールメディア市場では飛びぬけた存在です。

それを追うのがウォルマートです。同社は2019年に広告プラットフォームを自社で開発、Webサイトの月間利用者数は約1億3,000万人で、その規模は日本の人口よりも多い利用者数です。ウォルマートの広告事業「Walmart Connect(ウォルマートコネクト)」の22年度の売上高は27億ドル(約4,050億円)を超えており、現時点で総売上高に占める割合は0.44%に過ぎませんが、広告事業が総利益に占める割合は5%を超えています。

こうしたアメリカ市場の動向を受け、既存のビジネスモデルから新たな成長ステージへ移行するためのツールとして、リテールメディアに期待しているのが現在の日本の組織小売業です。

リアルの小売で、日本とアメリカのリテールメディアには大きな違いがあります。アメリカは自社が運営するECサイトへの広告出稿が中心なのに対し、EC事業の規模が小さい日本では、アプリ広告や店内のサイネージなどを活用した広告を中核にしています。

ちなみに日本国内で約1万6,300店を展開しているファミリーマートは、デジタルサイネージ「FamilyMartVision」を1万店に設置しました。ファミリーマートはこのFamilyMartVisionを、POSデータなどによる購買行動の分析や生活者への調査プラットフォームとして活用し、メーカーと連携した商品プロモーションにも活用しています。またAIカメラによる分析を開始し、来店者の属性分析が可能になっています。ちなみにファミリーマートがFamilyMartVisionを設置した店舗で接触できる人数は、1週間で6,400万人にのぼるとしています。