コラム

マーケティングのジレンマ・・・No.76 ニューヨーク・タイムズのデジタル購読収入が1,600億円になった予想外の理由

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日本の新聞の長期的な下落傾向が止まりません。その一方アメリカのニューヨークタイムズはデジタル版が好調で、日本の新聞とは対照的です。ニューヨークタイムズのデジタル版が好調な理由は、ニュースコンテンツの力ではありません。ではなにが要因なのでしょうか。

日本の新聞が凋落する中で、ニューヨーク・タイムズが好調な理由

ニューヨーク・タイムズは2024年2月7日に、2023年のデジタル版の購読料収入が前年比12%増の約11億ドル(約1,600億円)になったと発表しました。

気になる決算の内容ですが、2023年12月期の売上高は5%増の24億ドル、最終利益は34%増の2億ドルでした。購読料収入は7%増えましたが、広告収入は3%減っています。2023年12月末時点の有料購読者は1,036万人で、デジタル版は前年より87万人多い970万人ですが、紙の新聞は前年比で7万人少ない66万人です。

ここで注目したいのは、ニューヨーク・タイムズはクロスワードパズルなどのゲームや料理レシピ、家電のレビューなどで集客しており、「ニュースコンテンツ」で読者を増やしているわけではないことです。

こうした流れを受けて同社はスポーツ情報専門サイト「ジ・アスレチック」を買収してサイトでのパッケージ販売をさらに強化し、2027年末までに有料購読者を1,500万人にする目標を掲げています。

これまでのようにニュースコンテンツに料金を支払ってもらう日本の新聞社のビジネスモデルでは、長期的な低落傾向に歯止めが効きません。その打開策がどこにあるかを、ニューヨーク・タイムズが示唆しています。