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人生後半戦に「価値のないオジサンになる人」と「ずっと稼げる人」の8つの分岐点

掲載URL:https://president.jp/articles/-/39907

コラム プレジデントオンライン

人生の後半戦に「価値のないオジサン」にならないためにはどうすればいいのか。マーケティングコンサルタントの酒井光雄氏は「年齢にかかわらず、成長を続ける人は自問と行動を繰り返す。仕事を通じて自身のブランドを築くことが、人生の後半戦を左右する」という——。

人生後半戦に「価値のないオジサンになる人」と「ずっと稼げる人」の8つの分岐点・・・真っ先にクビになる社員のマインド

人生100年時代に求められる人材

40代後半から50代にかけて定年退職が視野に入り始めると、これから自分はどれだけ実績を上げ、どんな評価を得られるかを自身で把握できるようになります。この年齢で管理職に昇進していなければ、これから先も役職に就く可能性は限られ、収入は増えていきません。こうした状況に直面し会社へのロイヤルティ(忠誠心)と仕事への意欲を失うと、“働かないヒト”になり、ついには労働市場でその価値を失う「アガリの人」に変質してしまいます。

40代後半から50代に「アガリになる人」と、「伸び続ける人」との分かれ目はどこにあるのでしょうか。その分岐点ともいえる8つのポイントを踏まえて、後半戦も社会が求める人材として活躍できるように自身をチェックしてみてください。

大企業の社員でも安心できない

(1)自分の人生を会社任せにしているか、自分の会社以外でも通用する人材になれるように取り組んでいるか。

「大企業にいるから、自分は安心して暮らせる」。もしこう考えている人がいたら、それは自分の人生を会社任せにしているタイプです。この発想を続けていると、「会社で指示されたことさえしていれば、給与はもらえる」「仕事で失敗さえしなければ、定年まで今の会社に在籍できる」と思い込むミドル世代が出てきます。これでは定年どころか早期退職勧奨の対象になりかねません。

業績が好調で高収益であっても早期退職制度を導入する企業が増え、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化している法人が増大しています。働かない人材を雇い続けられる企業は、今後存在できなくなるでしょう。

その一方、自身の市場価値を高めるように仕事に取り組み、自分の会社以外でも通用する人材になれるようにビジネススキルを高度化していけば、「アガリの人」にはなりません。自身の能力を高度化させていく取り組みは、人生の後半戦で発揮されることになります。

「思考停止と行動停止」になるか「創造的思考と具体的行動」ができるか

(2)「思考停止と行動停止」か「創造的思考と具体的行動」か

「今のままの仕事の仕方では、後輩たちに先を越される」「惰性で仕事をしていてはいけない」「新しい知識を吸収しないと、ついていけなくなる」こういった自身の問題や課題に気付いていながら先送りして思考停止し、行動が変わらない人がいます。行動を起こさず、そのまま無為に時間を費やしていると、その人が存在する意味と価値はないと組織は判断することになりかねません。

自分の仕事の取り組み方に課題や問題があることに気づいたら、改善策や代替案を考え、速やかに行動を起こしましょう。そんなあなたの姿に触れたら、周囲の人たちの見る目は変わってきます。

やりたいこともなく、批判ばかりの人は要注意

(3)仕事にも人生にもやりたいことがないか、やりたいことにあふれているか

組織が最も恐れること、それは企業文化に悪影響を与える人材が社内に存在することです。悪い人ではなくても、仕事や生き方に気概を感じさせず、若手たちのモチベーションをそいでしまうような人材ではうとましく思われ、部下や周囲の人たちは離れていきます。

反対に仕事とプライベートで共に意欲にあふれ、前向きに取り組んでいる人なら、社内外を問わず人との交流機会は多くなり、人との縁が絶えることはありません。ポジティブな力を発揮している人には、自身の可能性を広げるチャンスが増えていきます。

批判することに生きがいを感じていると、自分の居場所がなくなる

(4)批判するだけか、代替案を出せるか

学校で優秀だった人ほど、批判精神が旺盛です。社内の会議で部下たちが考え出した企画や取り組みに対して批判しているだけでは、いずれ声は掛からなくなります。会議に出席してできない理由を挙げるために、企業は給与を支払っているわけではありません。

どうすれば仕事を円滑に進め、成功させることにつながるのか。社員はそこに知恵を絞ることを求められています。創造的な発想ができず、批判することに生きがいを感じていては、自分の居場所はなくなってしまいます。

社内で企画や案件について検討する際には、まず提出された内容について良い点を評価し、その上で改善点なり代替案を提案すれば、そこにいる人たちも賛同するでしょう。代替案のない批判は絶対に避けましょう。

仕事を通じて自身のブランド力を磨く

(5)会社の看板に依存しているか、自身のブランド力で生きているか

ビジネスパーソンの中には、自身の力と企業の看板力をはき違えている人を時折見かけます。どんな場合にも自分の名前の前に、勤務している企業名を必ずつける人がこのタイプです。その人にとって、会社の名刺は何よりのよりどころです。もしこのタイプの人がグループ会社や他企業に転籍になったり、定年を迎えたりした時には、埋めようのない喪失感にかられることになります。

逆に自分が取り組んできた仕事や現在の職種から自分を語れる人の中には、自身のブランド力を発揮している人がいます。仕事に取り組みながら企業の価値を高め、さらに自身の価値も同時に高めていく意識と行動を起こせば、個人のブランド力を向上させることができます。

仕事を通じて自身のブランド力を高めていけば、その魅力に惹かれる人たちが増え、自身の可能性を広げるオファーが舞い込んでくるようになります。

将来の自分の姿を自分でデザインする

(6)根拠なく楽観しているか、健全な危機感を持って日々臨んでいるか

「早期退職しても、焦らずに次の仕事を見つければいい」「年金だけで暮らしていけるだろう」「仕事から解放されたら、ゴルフざんまいの暮らしをしよう」など、将来の生活に何の根拠もなく楽観視しているヒトがいます。会社に就職できた時代と現在とでは経済環境が大きく異なり、平均寿命が延びたことで生存リスクが高まる社会になりました。何ら準備をせず、また仕事をせずに人生の後半戦を暮らせると安易に考えるのは危険です。

将来の自分を展望してそうありたい姿を自身でデザインし、今からできることに取り組めば、必要になる打ち手が見えて来ます。根拠のない楽観論で後半戦を過ごそうとせず、健全な危機感を持ちながら日々スキルアップに励みましょう。

健全な危機感を持ち、自分を客観視する

(7)自身を客観視できないか、客観視できているか

部下や会社にいる周囲の人たちが自分をどう見ているか、客観的に判断できていないと独りよがりの存在になってしまいます。それなりの年齢になっている人に、部下や周囲の人たちは相手の心証を悪くする助言や忠告をしてはくれません。自身が肯定されていると思い込んでいたことが、お世辞にすぎない場合もあります。

自身を客観視するには、配偶者の指摘に耳を傾ける方法があります。誰よりも自分のことをよく知るのは配偶者です。自分は他人からどう見られているかを、配偶者の視線と意見から客観的に把握することができます。

成長を続ける人は自問と行動を繰り返す

(8)過去に固執しているか、未来に向けて自身を高度化しているか

「学校で優秀な成績だったことが、自分の誇りだ」「それなりの学歴と名の知れた企業にいるという実績が、自分にはある」などと、自分が築いてきた過去の実績は確かに貴重です。しかし「未来の環境変化に向けて、自分はどう準備しているか」という問いに答えられなければ、その人は過去に生きているだけで、これから先の成長には期待が持てません。

 

成長を続ける人は自問と行動を繰り返す

成長を続ける人は、「仕事を通じて、今後どのような実績や成果を企業と自分にもたらしていくか」を絶えず自問し、都度、最善と思える行動を実践していきます。その行動力を生かせば、新たな知識の吸収から異分野の人たちとの交流にまで、自身のスキルを拡張させることが可能です。

人生の分岐点を迎えても、年齢によって自分の限界を決めつけることなく、自身の可能性を拡張するために知恵を使い行動を起こしましょう。「アガリの人」などという概念は自分自身で払拭し、一度しかない人生を価値あるものとして過ごしてください。