こちらが持っていった改善策や企画案などの提案に対して、批判ばかりを繰り返し、代替案をまったく出さない人(あるいは組織)がいる。こういった人や組織と付き合うのは時間の無駄だが、かといって投げ出すわけにはいかない。どのように対応すればいいのか。
批判のための批判に終始する人
どこの世界にも、何かにつけて批判するのが好きな人がいる。こうした人(あるいは組織)は、批判のための批判に終始する。改善策を議論するとき、真っ先に行うべき「ミスが起きた原因究明と再発防止」という視点が抜け落ちる。また、クリエイティブな提案に対して批判をするばかりで、代替案の提示がなく、相手を攻撃し続ける。一方で、批判好きな人(または組織)は、自分が批判される立場になると、逃げてしまう。
いったん「批判好き」の相手になると面倒なことになるが、そういった人(または組織)の特徴を知り、回避する術を持っておくとよい。批判好きな人(または組織)と付き合うのは時間の無駄だし、それによってほかの仕事に影響が出ては、元も子もない。
「批判好き」にはいくつかの特徴がある。きっと、「これはあの人のことだ」と具体的な顔が浮かぶだろう。「批判好き」は、ビジネスの世界では避けられない「敵」だ。まずは、敵のことをよく知り、対策を練ろう。
批判をやめられない、6つの理由
批判することを好み、相手を攻めてばかりの人には、本人ですら気づいていない原因や理由が潜んでいる。
(1)ストレス解消
日々の暮らしの中で本人が意識しない間に不満が溜まり、そのはけ口として他者を批判することがある。批判することで、自身のストレスを解消することにつながるからだ。本人がその点に気づいていないこともよくある。こうした人は、いつも不機嫌な態度でいることが多い。
(2)有能さのアピール
他者の行為や発言、実績などを批判することで、自分は有能だと周囲にアピールする人がいる。他者を批判できることが、能力の高さだと誤解しているからだ。弱点を見つけることに長けていても、創造的発想による具体策の提示ができないのが特徴。
(3)自己顕示
著名人や人気ブロガーのSNSに批判やケンカを売る人は、自己顕示欲が強く、「自分のことをかまってほしい」場合や、「炎上させることで自分の存在をアピールしたい」場合がある。自分が注目を浴びるために、批判というケンカを売るわけだ。リアルの暮らしでは温和な人が、ネットの世界になると豹変し、攻撃的になる場合もある。
(4)防衛本能
相手が自分にない長所や力・実績を備えていると、自分の弱さを他者から気づかれにように批判し、あるいは自身の弱点を隠すために人を批判するケースがある。自分が傷つかないために批判するわけだ。
(5)嫉妬心
その人の活躍や成功、容姿などが優れていることが気に入らず、それが理由で相手が嫌いになり、あるいは気に食わない場合に批判的な態度になる人がいる。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のたとえ通りになる。
(6)連帯意識
自分と共通の敵をつくることで連帯意識が増すため、他人の批判に同調して自らも批判するケースがある。上司を批判することで社員同士の仲が良くなったり、仲間意識が生まれたりするのが典型例だ。
特徴をつかんで、「この人はただ批判好きなだけの人だ」とわかったら、あとは深入りしないことだ。うまく対処する方法を検討していこう。
「何でも否定する人」には、「肯定」で返すべし
運悪く「批判好き」にかみつかれた際の最適な対処法、もしくは、そもそも噛みつかれないための方法について、紹介しよう。
(1)感情的にならず、まずは傾聴し、相手の言葉をオウム返しにする
「~なんだね~」「なるほどね」「そうなんだね」と相手の言葉を徹底的に繰り返し、相手に話させる。言いたいことを言わせたら、相手も心理的に満足し、収まることもある。ただし、こちらには忍耐強さが必要になる。
(2)批判に対して、批判でなく肯定的に言い換える
批判する人は否定的な表現を用いることが多く、それがこちらの心情を傷つける。否定的な相手に対して、こちらは肯定的な表現で会話するように心掛ける。「それでは不平等だ」と言われたら、「ではどうすれば平等になるでしょうか」と切り返す。「それでは協力できない」と言われたら、「どうしたら協力していただけますか」という具合だ。
(3)SNSなどネット上では、「こういう人はお断りします」と事前に宣言しておく
SNSを利用している場合には、「友人の申請は、必ず自己紹介メールを送ってください」「フィードに記事の掲載がなく、顔写真やプロフィールのない方の申請や書き込みはお断りします」「面識のない方からの友人申請や書き込みはご遠慮ください」と事前に宣言しておく。
SNSで公開制限をせずに利用していて、知らない人から心ないコメントや批判がされた場合には、感情的な対応は避け、批判や否定的コメントが増えていく負のスパイラルに陥らないように、コメントを消そう。
FacebookやTwitterなどのSNSアカウントに言いがかりや炎上狙いのコメントが届いても、返信しないことだ。ただし、自身の記事に明らかに問題や誤記がある場合には、丁寧に謝罪しよう。
(4)感情的なメールへはすぐに返信せず、冷静になって対処方法を考える
批判的なメールが届いた場合には、相手の文面に影響を受けて感情的になりやすい。感情的になると話がこじれるから、こうした場合にはすぐに返信せず、冷静になって最善の対処法を考えよう。
夜、宴席後にメールをチェックした場合などはお酒が入っていることもあり、こちらも批判的な表現になりやすい。こうした時は翌朝冷静になってから返信すればいい。メールの場合には、相手も意図せずにきつい表現になっている場合があるので、メールでなく電話で直接、真意を確認する必要もあるだろう。
(5)批判的な人間とは、かかわらないようにする
批判的な人間は、どこの世界にも必ず存在する。批判する人を相手にしても、気分を害するだけで何もいいことはない。気分を害すと、「良い気」や「運」を遠ざけてしまう。
前述した「批判好き」の特徴を思い出し、相手にせずにやりすごすことだ。そして肯定的なやり取りや会話ができる人たちと交流する時間や機会を増やすようにする。気分がよくなる人たちと、より多くの接点を持つように心掛けよう。