価値のジレンマ・・・・No.21 テレワークが必要なもう一つの役割!?
パンデミックによるニューノーマルの到来は、従来の習慣や方法論が通用しなくなる半面、新たな社会行動を起こして労働生産性を高める機会にもなります。しかし今回のパンデミックで生じたニューノーマルを一過性のものだと経営者が判断し、せっかくテレワークを導入していながら、旧来の働き方に戻してしまう日本企業が現れています。
今回のパンデミックを契機に日本では本格的にテレワークが開始されましたが、テレワークの歴史をさかのぼると、欧米企業の取組む意欲との 格差に愕然とします。
ニューノーマルでテレワークを推進していかないと、天災が人災になってしまう!
東日本大震災に代表される大規模災害や今回のようなパンデミックが生じると、これまで当たり前だった生活習慣や社会状況、そして常識の概念が大きく変質します。この状況を「ニューノーマル」と呼びますが、この表現は2008年の「リーマンショック」から使われるようになりました。
ニューノーマルは従来の習慣や方法論が通用しなくなる半面、新たな社会行動を起こして労働生産性を高める機会にもなります。しかし今回のパンデミックで生じたニューノーマルを一過性のものだと判断し、せっかくテレワークを導入したにもかかわらず、旧来の働き方に戻してしまう日本企業が現れています。
今回のパンデミックによって、日本では本格的にテレワークが開始されましたが、その歴史をさかのぼると欧米との格差に愕然とします。
1970 年代にアメリカのロスアンゼルスでは、自動車が急激に増大したことで大気汚染が社会問題になり、さらに二度に渡る石油危機が起きたことで、オフィスでなく自宅で仕事をするテレワークが導入されました。しかし当時のアメリカは高速ネットワーク回線が普及しておらず、この働き方は広がりませんでした。
1980 年代に入るとPC が普及し、女性の社会進出が本格化していく中で、欧米ではテレワークという働き方に関心が高まっていきます。1989 年にサンフランシスコ地震、1994 年にノースリッジ地震が起き、カリフォルニアは大きな被害を受けました.インターネットの普及と並行して、この自然災害を契機にテレワークは企業がリスクヘッジする取組みとして注目され、その導入が急速に進んで行きました。またテレワークはオフィススペースを縮小できることにアメリカは気づき、企業戦略の中にテレワークを位置づける企業が増加して行きました。
2001年の同時多発テロの際に、テレワークを導入していた企業がいち早く事業を再開できたことを目の当たりにし、リックヘッジを行い事業継続性を維持するため、テレワークの導入を図る企業がさらに拡大して行き、現在に至ります。今回のパンデミックで、アメリカ企業の多くがフルリモート対応が可能だった背景がここにあります。
日本は毎年台風や大雨による洪水に見舞われています。また「南海トラフ巨大地震」やCOVID-19とは異なる新型コロナウイルス感染症の発生も確実視されています。
日本をけん引する企業の経営者が取組むこと。それは今回のニューノーマルを一過性のものと考えず、今後どのような事態に襲われようとリスクを回避し事業を継続できるように、今回の教訓を明日に生かすことです。可能なところとして先ずテレワークを推進していかないと、天災が人災になってしまいます。
参考資料
●最近の国内外のテレワーク事情 古谷眞義 ユニシステクノロジーレビュー109号 2011年8月
●ニューノーマル時代のマーケティング。変化する消費行動・価値観に対応するためのアプローチ クレディセゾン マーケティングソリューション 2021年5月24日