価値のジレンマ・・・・No.26 侵攻を始める前に、ロシアが国民のために取り組むこと
ウクライナへの侵攻によって、ロシア政府の外貨準備を凍結するなど厳しい経済制裁措置が取られる中、ロシアからグローバル企業が撤退しています。日本ではほとんど報道されていませんが、仕事でも日常生活でも欠かすことができないグローバル企業の製品、そしてサポートが受けられなくなってきています。
ロシアの所得税は収入による差がなく一律課税ため、高収入であるほど所得税の負担は少ない
ロシア国民の生活実態を知ると、戦争を起こす前にこの国が本来取組むべきことが浮かび上がってきます。
ウクライナへの侵攻が始まる前のロシア連邦国家統計局(2019年)のデータよると、ロシア人の平均月収は46,285ルーブル(約40,731円 1ルーブルを0,88円と換算 2022年3月現在)。ボーナスが年間3ヶ月分支給されるとすると、平均年収は46,285×15=694,275ルーブル(約610,962円)になります。
日本の平均年収は約430万円なので、ロシアの平均年収が約61万円だとすると日本の約7分の1になります。今回のウクライナ侵攻によるルーブルの暴落によって、日本円に換算するとロシアは著しく貧しい国になってしまっています。今回は1ルーブルを0,88円で計算していますが、2022年2月頃までは1ルーブル1,5円を越えており、3年前には1ルーブル2円ほどでした。戦争前の平均では、1ルーブルは1,5円ほどありました。
ロシアでは750,000ルーブル(660,000円 1ルーブル0,88円換算)以上稼ぐ高収入者は12%ほどしか存在していません。その一方ロシアの所得税は収入による差はなく、一定の割合が課せられます。そのため高収入であればあるほど、ロシア人の所得税の負担は少なくなります。
ロシアは貧富の差が大きい国ですが、誰でもできる仕事は年収が低くなり、最低賃金に満たない仕事をしている人が多いようです。最低賃金に満たない場合、国から補助金が支給されますが、彼らの生活は厳しいのが実態です。あまり報道されていませんが今回の経済制裁の一環として、マイクロソフトが市場から撤退しました。そのためロシア国内のWindowsPCはすべて海賊版と同様の扱いになり、プログラムの更新からサポートまで受けられなくなります。アップルのiPhoneも同様の事態になっています。さらにMasterやVisaなど主要なカード会社が停止されたことで、ロシアに暮らす外国人は預金を下ろせない状況が続いています。国際送金にも頼れず、手元の現金が目減りしている日本人も含めた外国人が相当存在しています。
出典
●平均年収.JP
●ロシアのウクライナ侵攻を止める、バイデン大統領の「悪魔の選択」とは何か 東洋経済オンライン