価値のジレンマ・・・・No.31 情熱に導かれる人生に、お金はついてくる
多くの収入を得ている人に共通しているのは、自分の仕事に情熱を持って取組んでいることです。逆にお金のためだけに働いている人の多くは、期待するほどの収入を得られていないのが実態のようです。この違いはどこにあるのでしょうか。
お金のために情熱的に働くのではなく、情熱的に働いたらお金が入ってきたんだ!
『お金のために情熱的に働くのではなく、情熱的に働いたらお金が入ってきたんだ』この言葉を口にしたのは、年俸1ドルで働いたことのある故スティーブ・ジョブス氏です。
どの職業に就くのが最も収入が多いのかと、オンラインメディアはよく特集をします。また現在のように景気がうつむき加減の時には、安定した収入が得られる(そんな職業など存在しないのに)と勘違いされ、医師や弁護士、会計士や税理士に代表される資格取得に励むヒトが増えます。
コンビニエンスストアの数よりも多い歯科医師は、大都市での競合が激しく、かつてのように虫歯治療程度の知識と技量しか備えていないと、実質的な年収が400万円にも満たない(開業するには、高額な医療機器を購入するなど借り入れと返済まで抱えます)歯科医も多いのです。また弁護士や会計士は「座して顧客がやって来る」ほど仕事は甘くはなく、必死でクライアントを開拓しないと、生活できません。同窓会で、弁護士が幹事を引き受けていることが多い理由はここにあります。
私たちの人生は、仕事と余暇で成立しています。
「仕事は生きるために働き、趣味に生きる」と口にするヒトがいますが、人生の半分を自らの手で捨てているように感じます。人間は余暇に「時間」や「モノ」、「サービス」を消費します。自分が望むモノやコトに消費する原資を得るために働くわけですが、生きるために働いているヒトほど消費に回るお金は限られ、質の高い消費を入手できないことが多いように見えます。
「合理的に考え、合理的に行動したら、合理的に多額の収入が得られる」と考えるのは、余りに短絡的です。受験勉強や資格取得の試験方法と、仕事に取り組むこと(特に取引先を見つけること)とは、決定的にプロセスが異なるからです。
現在、明らかに衰退を始めている企業は、20年前には誰もが就職したい企業の1社だったのではないでしょうか。逆に今日、飛ぶ鳥を落とす勢いのある企業が20年前からその力を発揮していたでしょうか。企業の規模が小さく、年俸も他社より条件が悪く、安定している企業だとはお世辞にも言えない。そう、アップルだって、かつてはその代表的な企業でした。
情熱的に働くことが、仕事を面白く、そして仕事を楽しむことに繋がるようです。自分がその仕事にどれだけ情熱を注げるか。そこに核心があるのではないでしょうか。