価値のジレンマ・・・・No.38 TikTokはジャーナリストの位置情報を監視していた
2022年6月29日、米連邦通信委員会（FCC）はAppleとGoogleに対し、TikTokをアプリストアから削除するように要請しました。TikTokは中国の法律で政府からの監視要請に従うよう義務づけられており、両アプリストアのポリシーに違反しているという理由からです。オーストラリアでも、TikTokのアプリがユーザーデータを収集しているというレポートが発表され、与党自由党に所属するジェームズ・パターソン上院議員が8月にTikTokの禁止を検討すべきだと発言しており、アプリストアから削除される可能性が出てきました。こうした動きの中で、TikTokがジャーナリストの位置情報を監視していた事実が露見しました。
中国のTikTokは数百万人に及ぶアメリカ人の個人データを入手し、コンテンツを操作して世論に影響を与える懸念がある
2021年に世界最大のアクセス数になったウェブサイトTikTokは、中国企業バイトダンスの傘下にあります。彼らは数百万人に及ぶアメリカ人の個人データを入手し、コンテンツを操作することによって、世論に影響を与える懸念が高まっていました。
フォーブスはバイトダンスの社員300人についてリンクトインのプロフィールを調べたところ、過去に中国の国営メディアで働いていたことが記載されていることを2022年8月に発見していました。しかもその内の23人は、取締役クラスの社員でした。
バイトダンスは子会社TikTokのアプリを使い、アメリカ人ジャーナリストのIPアドレスやユーザーデータに不正にアクセスし、彼らがバイトダンスの社員と同じ地域に滞在していたかどうかを特定しようとしていたことが2022年10月にフォーブスによって報じられ、同年12月にその事実を自ら認めました。
フォーブスによると、バイトダンスは同社と中国との継続的な繋がりを暴露する記事が相次いだため、内部のリーク源を明らかにする目的で監視活動を行っていたようです。
バイトダンス社内で「Project Raven」と呼ばれるこの監視活動は、BuzzFeed Newsが中国に拠点を置くバイトダンスの社員がアメリカのユーザーデータに繰り返しアクセスしていたと報じた6月以降から始まっています。フォーブスが入手した内部文書によれば、このプロジェクトは同社の複数の幹部が承認しています。
バイトダンスは、フォーブスのジャーナリストであるエミリ・ベーカー・ホワイトさん、キャサリン・シュワブさん、リチャード・ニーバさんの3人の位置情報を追跡していました。実はこの3人は、以前はBuzzFeed Newsに勤務していたのです。
特定のユーザーを監視するためにアプリを使用したハイテク企業は実はバイトダンスが初めてではありません。以前ウーバーとフェイスブックは自社のアプリで、ジャーナリストの位置情報を追跡していたと報じられています。
出典：2022年12月23日に配信されたフォーブス編集者エミリ・ベーカー・ホワイトのフォーブス記事より
