価値のジレンマ・・・・No.4 コンタクトレス・テクノロジーによって無人化していく仕事
これまで人が担ってきた仕事は、ITとAIによって人を介在させず無人化する仕組みが確実に増大してきます。「コンタクトレス・テクノロジー」と呼ばれ、人を不要にするテクノロジーは、世界でどこまで進展しているのでしょうか。
現在、人が従事している仕事の中でも「労務の提供」型作業は、無人化されていく
パンデミックでECが伸長する中、人間が介在しない「コンタクトレス・テクノロジー」が進展しています。
国内ではJR高輪ゲートウェイ駅構内に設けられた無人コンビニ「TOUCH TO GO(20年3月にオープン)」を皮切りに、目白駅のスーパー紀ノ国屋の「KINOKUNIYA Sutto(キノクニヤ スット 20年10月オープン)、「ファミマ!!サピアタワー/S店(2021年3月に開業)」と続いています。無人店舗のオペレーションシステムを活用すれば、店舗スタッフの数を減らすことで、1人当たりの月額人件費が50万~80万円を削減できます。
その一方、海外では「コンタクトレス・テクノロジー」はさらに加速しています。
その具体的な取り組みしては、
●Buy Online Pickup In Store
ウォルマートやイケア、ホームデポなどで普及しているのがBuy Online Pickup In Store(BOPIS オンライン購買店舗ピックアップ)です。サイトやアプリ経由で商品を注文し、受け取る日時を選択し、その時間に駐車場に到着したらモバイルアプリか電話で知らせると、店員さんが注文したものをクルマのトランクへ積んでくれるサービスです。
●ウォルマートによる自動宅配とコロナテストキットの家庭への配送実験
ウォルマートはアリゾナ州スコッツデール市で自動運転による宅配の実証実験を開始しました。GMの子会社であるCruiseの電気自動車を使い、ウォルマートで注文した商品を自宅まで自動運転でコンタクトレスに届ける実験です。
さらに同社は家庭用コロナテストキットを提供するQuest Diagnosticsとドローンサービス企業のDroneUpと提携し、ドローンを利用したコロナテストキットの家庭への配送実験を開始しています。
ラスベガス北部とニューヨーク州の一都市の特定の店舗から1マイル以内の一軒家の世帯で利用できます。家のガレージ前か裏庭にテストキットをドローンで無料で搬送し、自宅でコロナウイルスの検査が可能になります。
●MediSprout
遠隔医療用プラットフォームを提供するMediSproutは、ペンシルバニア大学病院やアメリカニュージャージー州で小児科病院を運営するCollege Plaza Pediatricsなどに、ビデオ診察プラットフォームを提供。電子カルテシステムや診察予約プラットフォームなどと統合して利用できる仕組みです。
●Nuro
元グーグルのエンジニア2人が立ち上げ、ソフトバンクから出資を受けているNuroの自動運転ロボットR2は、カリフォルニア州で短期的なコロナ患者向け医療施設で個人用医療保護具やシーツ、医療機材などの施設内配送を行っています。医療関係者が保護具や医療機材などの配送に時間を使うことなく、患者の対応に専念できるようにサポートしています。
従来、人が担ってきた仕事は、人を介在せずに済む仕組みが確実に増大してきます。その分野は小売業の無人販売・ECの商品宅配・飲食系デリバリーや配膳・自動運転やロボットによる運送や自動運転車によるコンビニ・遠隔医療などへと拡張しています。
現在、人が従事している仕事の中でも「労務の提供」型作業は、無人化されていきます。私たちビジネスパーソンは、AIやITに代替できないポジションで専門性を発揮し、そこで必要とされる力を日々磨くことが欠かせなくなります。