価値のジレンマ・・・・No.40 SNSは人々の感情増幅装置になる
コラム
リンクトイン
メディアでもてはやされていた人が、あるトラブルをきっかけに、業界やその地位から引きずり落されることがあります。その要因として考えられるのは、水面下で膨らむ声なき多数の人々の反感と、その反感を表面化させるSNSの感情増幅装置という機能が発揮されていることです。
見栄や自慢を遠ざけることが、この国では必要だ
SNSは私たちに多大な恩恵を与えてくれる存在です。その一方、人の好悪や憎悪といった感情を増幅させる装置にもなっています。
男性俳優や女性タレントが配偶者への裏切り行為を犯すと、SNSが炎上してマスメディアに飛び火し、その業界や地位から引きずり落とす事態が生じます。立派な肩書を持ち、テレビ出演はもとより政府の有識者委員会の委員にも選ばれた人が、配偶者の仕事上のトラブルをきっかけに強烈なバッシングに晒され、同時に過去の本人の行動や対応について、数々の疑問が多方面から投げ掛けられることになりました。
富と名声、さらには容貌に恵まれた姿を、SNS上でいつもアピールしていれば、人々の見えざる反感を買っていく可能性があります。資産家・容貌・成功・ブランドといった記号をSNS上で絶えずアピールする行為は、一般生活者の感情を逆なでしていたという推測もできます。
水面下で膨らむ声なき多数の反感が、何かをきっかけに表面化する時、SNSは反感の増幅装置に変質します。
恵まれた立場にあり、人々が羨むような生活を送る人ほど、自身の私生活をひけらかすことは危険です。幸せを持続するには、見栄や自慢を遠ざけることが、この国では必要なようです。