コラム

価値のジレンマ・・・・No.44 成功の復讐

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過去に成功した人はこれまでの成功体験を重視してしまい、自身の成功体験を否定する新たな取組みに躊躇しがちです。これが成功の復讐です。高齢になり名だたる資産家になっても、このセオリーを打ち破った人がいます。

自らの成功体験を捨てることができる人

バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、消費関連株を中心に、株価が一時的に大きく下がった割安株(バリュー株)を購入する超長期投資家として知られています。

その代表的な投資先は、コカ・コーラ、アメックス、プロクター・アンド・ギャンブル、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどです。投資銘柄は、バフェット氏自身が理解できる消費関連株であることも特徴でした。そのため、以前はIT企業の株には投資しておらず、バークシャー・ハサウェイの運用成績は他のファンドと比べて後れを取っていると指摘されることもありました。

しかしバフェット氏はこれまでの方針を見直し、2016年からはIT企業株への投資を始め、現在バークシャー・ハサウェイの資産の約44%はApple株が占めています。これまでの割安株(バリュー株)に重点を置いたバリュー投資家という側面だけでなく、成長株(グロース株)に投資するグロース投資家にもなってきています。また長期保有を貫いていた割安株に関しても見直しを行い、20年以上保有する長期保有株の割合は20%以下になっています。

バフェット氏は92歳という高齢でありながら、過去に起きたリーマン・ショックや国際的な金融危機、ITの急速な進展、パンデミックという環境変化に直面し、運用方針を大きく変えました。成功した人は過去の成功体験を重視し、時代が変わっても自身の成功体験を否定する新たな取り組みに躊躇しがちです。これを「成功の復讐」と呼びます。

高齢になり名だたる資産家になっても、自らの成功体験を捨てることができるウォーレン・バフェット氏から、私たちが学ぶことは多いと思います。