大手デパートの経営者が、「新型コロナウィルスが完全に収束したとしても、ファッションの売り上げが元に戻る事はない」と述べました。では次にデパートが注力する市場はどこになるのか。その拠り所が示されました。
価格競争をしない市場を見つけ、そこで優越的地位を築く!
これからデパート業界が注力する市場として、参考になる指摘があります。中部産業連盟の機関紙プログレスで、大丸松坂屋百貨店の代表取締役社長である澤田太郎氏のインタビュー記事の中に見つけました。
その概要は、以下の通りです。
「新型コロナウィルスが完全に収束したとしても、ファッションの売り上げが元に戻る事はないでしょう」
「かつて国産ブランドの中には、100億円を超える大きなブランドがありましたが、現在は一つ一つは小さいが、奥が深いマーケットになっています。変化に向き合い、きちんと対応しない限り、百貨店のファッションの売り上げは、コロナ前に戻る事はないでしょう」
「ルイヴィトンの親会社が業績発表しましたが、コロナ禍でも、彼らは売り上げを伸ばしていました。地域別に見ると、日本市場の売り上げが伸びています。大丸松坂屋でも外商の伸びは顕著ですが、特にルイ・ヴィトンやカルティエ、シャネルに代表されるラグジュアリー商品、高級時計やアートは早い段階で、2019年のコロナ前の売り上げを超えています。これから百貨店が注力していく市場は、現代アートと高級時計です」
「今後求められるのは、中量あるいは少量の生産量であっても、価値があり、価格競争に巻き込まれないクラフトです」
というコメントです。
高級時計はともかく、現代アートは日本でもこれから注目される市場です。「定価」が存在しない市場とカテゴリーでないと、小売業は競争力を発揮できません。今回の指摘の中にはありませんでしたが、アンティークの家具・宝飾品・食器・絵画・時計なども可能性がある市場になると思います。
価格競争をしない市場を見つけ、そこで優越的地位を築くことが、付加価値と利益を重視する小売業のセオリーになるはずです。