コラム

価値のジレンマ・・・No.49 育った時代の「前提」と「当たり前」が違うから、世代間のコミュニケーションギャップが起きる

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コラム リンクトイン

世代によって自分たちが考えている「前提」や「当たり前」が異なっているため、世代間にはコミュニケーションギャップが生じます。どの世代もそれぞれの時代に経験した「前提」と「当たり前」が正しいと信じているため、この違いは議論しても解決できません。こういう場合、どうすればいいでしょうか。

どの世代も自分たちが持つ「前提」と「当たり前」が正しいと思い込んでいる

40代~50代世代から20代世代を見ると、どこか頼りなく感じることがあり、反対に20代~30代世代から40代~50代世代を見ると、どこか威圧的に見えるのは、育った環境の違いがあるからです。

40代から50代の人たちが社会人になった時、主要なコミュニケーション手段は電話やFAXで、パソコンはまだ一般的ではなく、社員それぞれにパソコンが提供されていない企業もありました。当時、メディアはマスメディアが中心で、ポケベル(1980年~90年)から携帯電話(1990年後半)に普及を始めた時代でした。

オフィスにパソコンが普及するのは2000年頃からで、40代以上の世代はそれまでPCを使わずに仕事をしていました。パソコンが普及するまで、紙の書類に手書きで発注書・領収書・企画書などを作り、メールはありませんから、連絡から返答までのやり取りする時間は非常に掛かっていました。上司や取引先とは直接話し合うため、声が大きく、上下関係を重んじる体育会系人材が重用される時代でした。

一方、20代~30代の世代はマスメディアよりもSNSやYouTubeを利用し、学生時代からスマートフォンを使ってメールやLINE(2011年に登場)で連絡を取り合ってきました。社会人になると一人一台のパソコンが与えられ、チャットを使ったコミュニケーションがビジネスにも拡大してきました。

50代以上の世代は「電話で連絡するのが当たり前」と考えがちですが、20代から30代の世代は「電話よりメールやチャットがいい」と感じています。この違いが互いに違和感を生むことがあります。

メディアやコミュニケーションツールだけでなく、当時は一般的だった価値観も変化し、時代が変わっても当時のままに行動をしていると、異世代からはセクハラやパワハラと受け取られることが生じます。その一方、40代~50代の人たちは決済権や決定権を握っていることが多くなっています。20代~30代の世代が新たな取組みを社内で始めようと提案すると、年長者と軋轢(あつれき)が生じることがあります。

20代~30代世代から、年長者の上司や企業幹部を見ると、

「自分でSNSやチャットを普段使わないので、その便益に気づいていない」

「宴会では皆がお酒を飲み、部下はお酌をするのが当然だと上司が考えている」

「ITやネット環境整備に関心が低く、リモートワークに消極的」

「仕事が終わった後に、お酒を飲みながら話し合うのが社員同士のコミュニケーションだと思っている」

といった認識のズレがあると思います。

自分が育った時代背景から見ると、相手の考え方や行動が違うと感じることがあります。各世代の「前提」と「当たり前」が異なるため、世代間のギャップがここで生じます。どの世代もそれぞれが持つ「前提」と「当たり前」を正しいと信じているので、議論してもこの違いは解決できません。

世代間のギャップは避けられないため、各世代が異なる「前提」と「当たり前」を互いに尊重することが不可欠になってきます。世代間ギャップを乗り越え、円滑なコミュニケーションを築くには、相手の世代の「前提」と「当たり前」をまずは理解し、互いにそこで争わないようにします。

その上で、共通の目的や本来のコミュニケーションの目標を共有化し、対話しながら互いに歩み寄ることが欠かせません。