マッチングアプリによって「出会いの機会」は増大していますが、男性の交際や結婚には必ずしも繋がらないという傾向が表れています。なぜなのでしょうか。
マッチングアプリは「出会いの機会」を増大させたが、「恋愛資本」が不足する男性は出会う機会が増えないというジレンマ
近年の社会学では「恋愛資本」という概念が提唱されています。「恋愛資本」とは『対人魅力(容姿・社会的地位・収入・資産)』と『異性とのコミュニケーション能力』とで成り立っています。この恋愛資本の概念は、マッチングアプリの場で、ある影響を及ぼしています。
1.マッチングアプリの魅力と限界
マッチングアプリは『対人魅力(容姿・社会的地位・収入・資産)』に基づいて、相手を選ぶツールとして人気を集め利用されています。しかし恋愛資本を構成するもうひとつの柱である「異性とのコミュニケーション能力」はこのアプリ上では反映されにくく、対人魅力が優先されてしまいます。このため容姿や社会的地位、収入、資産に恵まれた男性が優位に立ち、出会いの機会が偏る傾向が強くなっています。
2.対人魅力が重視されてしまうマッチングアプリ
婚活市場におけるマッチングアプリでは、『対人魅力(容姿・社会的地位・収入・資産)』が重要な選択肢になっています。女性はマッチングアプリ上で対人魅力を基準に男性を選ぶ傾向が強くなっているため、対人魅力が不足している男性は不利になります。マッチングアプリを通じて「出会いの機会」が増大しても、男性の交際や結婚には必ずしも繋がらないという傾向表れています。
3.ショットガンアプローチのジレンマ
多くの男性はマッチングアプリで「ショットガンアプローチ」と呼ばれる戦略を取ります。「ショットガンアプローチ」とは、特定の条件を設けずに、多くの女性にアプローチする方法です。しかしこのアプローチ視点は女性の選択基準とは合致しないため、出会いの機会は増えていきません。
マッチングアプリは「出会いの機会」を増大させましたが、その一方で「恋愛資本」が不足する男性には出会う機会が増えないというジレンマが生じています。
将来、相手の「恋愛資本」が増大していく可能性を見据え、「異性とのコミュニケーション能力」の魅力を考慮することが、本来は欠かせないはずです。
こうした中で、出会いの手段として合コン復活の動きがあります。互いの将来を見据えて、共に成長できる相手を見つけるには、出会いの質も重要です。リアルで対面すれば「異性とのコミュニケーション能力」の魅力を発揮する場になります。将来の幸福に影響を与えるのは、出会いの質にあるようです。
参考資料:男性婚活で如実「恋愛弱者と強者」残酷な格差 アプリでは平均的なモテ男も苦戦する 東京都立大学大学院経営学研究科准教授 高橋 勅徳