価値のジレンマ・・・No.60 ニューヨークの4人家族で中流階級とみなされるために必要な平均年収は一体いくらなのか?
厚生労働省の『国民生活基礎調査』(2022年)から、日本の平均所得を見てみると、1世帯あたり平均所得金額は、「全世帯」では545万7,000円。「高齢者世帯」が318万3,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が665万円、「児童のいる世帯」が785万円となっています。
同調査によると、「200~300万円未満」が14.6%、「100~200万円未満」が13.0%、「300~400万円未満」が12.7%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。中央値は423万円。平均所得金額(545万7,000円)以下の割合は61.6%と過半数を超えています。
ではアメリカで中間層とされる人たちの年収は、一体どれほどなのでしょうか。
アメリカは急激なインフレにより物価や家賃、不動産価格が上昇していることを念頭に入れ、年収の高さを判断すべきだ
パンデミックが収束した後の急激なインフレにより、ニューヨークで中間層とされる人たちの年収は大幅に上昇しています。ピュー・リサーチセンターと連邦労働統計局の調査では、ニューヨーク州で中間層とみなされるのは、一家4人で81,396ドル(約1,230万円)の年収が必要で、2022年の74,908ドルから7,000ドル(約100万円)上昇しました。
中間層の年収が最も高いのは、ハワイ州で82,630ドル(約1,250万円)です。続いてニューヨーク州とワシントンD.C.が第2位でした。年収が最も低いのはミシシッピ州の60,431ドル(約910万円)です。
アメリカの中間層の割合は、近年減少傾向にあります。1971年は61%でしたが、2021年には50%にその割合は低下しています。現在の低所得層の割合は29%(+4ポイント)、高所得層は19%(+7ポイント)になっています。
ニューヨークポストの記事のコメント欄を見ると、「家計をやりくりするには少なくとも11万ドル必要だ」「4人家族で8万ドルの収入で、一体どの辺に住めるというの?」「NY州サフォーク郡で年収9万ドルだけど、その日暮らしの生活を送っている」といった声が上がっており、一家で年収8万ドルというのはニューヨークの人々にとって現実的ではないようです。
SmartAssetの調査では、単身者がニューヨーク市内で快適に暮らすには、138,570ドル(約2,100万円)の年収が必要とのことです。
日本ではSNSやオンラインニュースなどのコンテンツでは、アメリカ人の年収の高さが注目されがちです。しかし急激なインフレにより物価はもとより家賃や不動産価格が上昇していることを念頭に入れて判断しないと、認識を誤ります。
参考資料:ニューヨークポスト オンライン 2024年4月1日午後4時47分(東部標準時)