コラム

才能という花が開花する季節は、人によって違う

若くして頭角を現す人もいれば、熟年になってから業績を残す人材もいる。世の中は「若い時の成功」を賞賛する風潮があるが、それは誤りだ。

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若くして頭角を現す人もいれば、熟年になってから賞賛され、業績を残す人材もいる。不思議なことに世の中には「若い時の成功」を賞賛する風潮があるが、それは誤りだ。

知らぬ間に他者と比較する自分がいる

人間の個性は千差万別で、画一的ではない。若くして頭角を現す人がいる一方、60歳を過ぎてから大発見をしてノーベル賞を受賞する人もいる。若者たちは「自分は浪人になったが、友人は志望校に合格した」とか「希望する会社に友人は就職できたが、自分は就職先が見つからず焦っている」などと、知らぬ間に自分を他者と比較している。

この傾向は社会人になってからも続き、「彼は一番に課長になった」「20代で起業して経営者になった」と速さを競う。ところが40代以降の後半戦になると、自分の将来はもう見えたと諦めてしまう。

若くして成功した人が陥るワナ

若くして出世した人材は自らの力を過信し易く、傲慢になったり怠け癖がついたりして、その後上手く行かない人生を歩むことも多い。
逆に年齢を重ねてから成功した人は、周囲の人に助けられ、支援を受けたから現在の自分があることを知っており、今日あるのは助けてくれた人たちのお陰だと、他人の存在と支援を忘れない。

最高の人生とは、天寿を全うした時に、最も美しい花が咲く人だ

春になると梅の花が、次に日本人がこよなく愛する桜が咲く。夏になれば炎天下で向日葵が咲き、秋には菊、そして冬には椿へと咲く花は続いていく。春に咲く花が偉く、冬に咲く花はダメだなどとは誰も思わない。

人間の才能も、花たちと同じだ。

若くして頭角を現す人もいれば、熟年になってから賞賛され、業績を残す人材がいる。不思議なことに世の中には「若い時の成功」を賞賛する風潮があるが、それは誤りだ。

その人にしか発揮できない能力がいつ社会で発露するかは、人によって違う。
他人と比べるのではなく、昨日よりも今日の自分の方が少しでも成長しているのなら、「速さ」でなく「やり遂げた業績や結果」を振り返って判断すればいい。

ひょっとすると天寿を全うした時に、最高の人生となり、人生という物語が完結するのが、人間にとっては最高の花の咲き方なのかもしれない。